山川草木

日々を愛する 音楽と言葉 from northern land 

読書帖①コメントする力

数日前、仕事に行き詰まり、グーグル検索で偶然見つけたのが、この本だった。

“コメントする力” 竹田圭吾

懐かしいな。竹田さんの語り口。

 J-WAVE JAM THE WORLD

亡くなった後だったっけ。

竹田さんの出番だった曜日に津田大介さんが登場し、追悼していた。

そう2年前。思い出す。

放送のスタイルが昨年がらっと変わってしまい、番組は聞かなくなってしまった。

 

この本、今の僕に必要なことが、かなり書いてある。

あとがきに「人生の残りも短いことだし(べつに病気とかではありません)」と、それらしく匂わせるような記述があった。

竹田さんの遺書だと思って、大切に読んでる。

コメントする力ってタイトルが、ちょっとチープだよね。

もっともっと深い事が書いてある。

でも、○○する力っていうフレーズが流行った時代もあったから。

 

・つくり笑いを相手に向けて、時が過ぎるのを待ちます。

 

<取材のチェックポイント>

企画のどこを勘違いしているか

どんな取材が足りないか

どの取材先が対象として間違っているか

送ってきた原稿がいかに冗長でピントが外れているか 

 

<情報発信~シンプルな三つの流れ>

A企画の狙いを定め、材料をストックする 企画力&取材力

              ・企画力は「センス」だ 上位三つを満たす「企画の狙い」を定める

                            ターゲット、ニュース、単純な好奇心(タイトル&書き出し3行)、欲求の煽り、競合メディア

                            →次の大段落「企画の狙い」の定め方

    ・競合メディア・・・テーマや切り口が重複してないか、見落としの指摘や批判も

    ・「仏つくって魂入れず」ではダメ 3回ボツでも諦めなければゴーサイン

    ・どんなに良いテーマでも、担当者が自分自身で問題意識をもってないとよいものにならない

B集めた材料から「企画の狙い」に応じて必要なものをピックアップ

              ①要素(論点、事実、経過、意見、分析、批判、評価、データ、エピソード、アネクドート、引用、取材コメント)をリストアップし、ぜひ言いたい度合いのものの優先度をつける

              ②パッケージの大きさを考える ex.150行の原稿

              ③大モジュールの数と種類を考える 大モジュールは25~45行 原稿につき3~4個

              ④モジュールの数と種類を考える  モジュールは最大15行 大モジュールにつき2~4個

              ⑤要素をモジュール単位に整理 ファクト&取材コメ/分析&データ/内容やニュアンスごと

              ⑥モジュールを大モジュール単位に整理し直す 

C加工して視聴者に差し出す

              ①アウトライン(全体構成=順番)を考える。伝わりやすさ、面白さを基準に

              大モジュール→モジュールへ

      ・最もインパクトあるモジュールをトップにもってきて、後で理由や客観的な分析を話す

      ・わかりやすさ優先なら、基本から応用、中心から周縁へ

      ・読み応えならエピソードやアネクドートを核に据えた構成にする

              ②アウトラインが決まったら、モジュールごとに文章の構成や表現を整える

              →次々大段落「肉付け」に踏み込む

              言葉の表現を工夫したり、ファクトやデータのチェックも行う

      モジュール分量の増減も考える

③表現のブラッシュアップや最終チェックを行い、問題がなければ発信する 「他人の視点」で

              ○事実関係に誤りはないか。誤字脱字、固有名詞、数字、データ

              ○似た内容が書いてないか。文章表現や内容に工夫があるか。

              ○そのメッセージ(主題)はシンプルに面白いか

              ○誰かを傷つけてしまわないか

              ○特定の人や組織を必要以上に持ち上げたり、不公平におとしめていないか

              ○どんな反論がくるか。反論にはどうこたえるか

              ○過去にいったこととの整合性はとれているか

 

<「企画の狙い」の定め方 >

A「短くてシンプル」な主題やメッセージがあるか ※ニュース性も

              最低限必要な情報を選ぶ

           ・組み合わせてメッセージを考える(単語単位を並べるところがスタート地点)

              ・文章で説明すると、どうしても小難しくなる。まず「話し言葉」で

                       「予備知識もなく」「短い時間で」「目の前の人に」

                       平易な単語、シンプルなポイントをシンプルな構成で

B「ターゲット」が絞れているか

              ・「すべての人にきちんと伝えようという気持ちは捨てる」

    ・なるべく多くの人に読んでもらうには、なるべく多くの人に読んでもらわないようにする

            ・ターゲットを広くとると企画は陳腐になり、内容は散漫になり、表現が没個性

    ・ターゲットを絞ったほうが、結果的にターゲットから外れた人にもメッセージが届く可能性

    ・ターゲットを明確に、絞り込む それ以外の聞き手を切り捨てる勇気

C 「主題」や「メッセージ」に絞りが効いているか

         「主題」に関する「視点」「軸」を絞り込む。強調し、どの要素をカットするか

           Ex.「あの人ってどういう人?」 主題は「あの人」

         ・こんな面もこんな面も 人格は複雑なのでそれも事実だが、人物像がぼやける

    ・「社交性」という一点に「視点」を絞り込む→そこに「具体的かつ象徴的なエピソード」

D好奇心をかき立てられる2大要素があるか?

              ①企画のタイトル

              ②本文書き出しの2~3行

              ※理屈抜きに一発で『へえ、それ面白そう!』と思えるか

              ※理屈や順序立てて、事細かに書いたり、プレゼンで長々説明したりはできない

 

<「肉付け」の大切さ>

○事実(ファクト)は骨だけで乾いている。説得力を持たせ、印象的に伝えるのは、肉付けだ

              ・退屈な説明文も、肉付け次第では、魅力的なストーリーになる

         ・断片的、散発的な個々の情報を、「現場での観察(次項参照)」をもとにしたストーリーの中で、コンテクストに位置づけ、全体像における意味を理解してもらう

    ・抽象的な言葉より、具体的な事例を当てはめるほうが、読者に分かりやすい

○現場観察、情景描写には「五感に訴える表現」を

              ・視覚、聴覚、嗅覚、臭覚、味覚―読者の五感が反応するような表現

              ・インパクトでは映像や写真に勝てないけれど、いろいろな種類の言葉を使えることが文章の優れた点。シンプルかつ豊かな表現を工夫してゆく

 

<取材メモ>

○ノートはQ&A Aの余白を大きく設ける

○事前にない質問をする場合は、Q&A双方を書いておく

○自分が感じたこと、印象的だったこと、後で調べたいことは「※」で書く

○大切なことは「!」

○ネットで得られない情報を大切にする―人柄、キャラクター、表情、口調

 

<書かないこと>

○基本の四つ…見れば分かること+一般論(読者目線)+他の人がいいそうなこと+怪しい話

○応用の四つ…代案なき批判、極端な悲観論、未来過ぎる提言、原則論

 

<書くことの基本は「独自性」>

○オリジナルな四つ…情報分析、体験、コンテクスト、表現

 

<情報分析>

○情報の全体像を見る=対象を「視点」を変えて見る

・「裁判員制度」 タテ軸(時間)とヨコ軸(地理)に置いてみる

・「りんご」  学問の多様な領域 x哲学 x科学 x社会学 x芸術

・「刑事裁判」 人の立場 on裁く側 on裁かれる側

・カタチ、大きさ、質、内容、機能、意味、数字、データ 何かしらをタテ軸・ヨコ軸として見る

 〇付加価値を探る

・追加の事実、解説、視点

・俯瞰して大局的に見る クローズアップして細部を見る

・否定されていたものを肯定してみる 肯定されていたものを否定してみる

・別の批評を試してみる 別の角度から読み解いてみる

・感想や意見をプラスする

 

<情報収集>

○幅広い情報源に定期的にふれよう

・ニュース(yahoo/新聞)・分析&論考(agora/synodos)・フォーラム(NewsPicks)

○週に一冊は本を読む 目次を見て、面白そうな章だけ 飛ばし読み(単語のみを拾う)

○ひらめきや印象に残ったことは自分宛にメールする

○月に一度、大型書店か図書館へ行き、たくさんの棚を端から端まで見て回る

○情報は整理しない。時間がもったいない

・捨てるか、残すか。加工や分類はしない。

○新聞の読み方←偶然にも、ほぼ同じ読み方だった

・時間は1時間

 ①読まずに、まず見る=世の中の全体像をつかむ 3~4紙 30分

  最初の1紙は、どんなニュースがあったかの確認。10分

  2紙目以降は扱いの違いを見る 5~10分ほど

 ②読む 残り30分

・ニュースの分類

 ①どうでもいいニュース

 ②事実を押さえるニュース 目につく単語のみ、飛ばし読み=斜め読み

 ③大事なニュース チェックし、あとで読む

○1テーマにつき読書は3冊

 

<相手の気持ちを動かす>

・最初の5行―おおげさに徹底的に評価 努力、アイデアの斬新さ、仕事の的確さ

・次の20行-言いたいこと、言わなければならないことをダイレクトに

                            企画のどこを勘違いしているか

                            どんな取材が足りないか

                            どの取材先が対象として間違っているか

                            送ってきた原稿がいかに冗長でピントが外れているか

・最後の3行―仕事が注目を浴びる大切なものなこと キミならできる 大げさに

 

<価値観・スタイル>

○ニュースについて、固有名詞を省いて考えて見る 誰が、どこで、

○「わからないものはわからない」といったん受け入れる

              ・なぜ問題が起きたのか。分からないと不安になり、無理にでも答えを出して「分かった」「解決した」状態になろうとする。

            ・シロかクロかに単純化しようとしたり、思考は乱暴になったり、ゆがんだ情報に無防備なままさらされて判断を誤る

              ・「わからない」に耐える。受け止める。時間をおいて、別な情報にあたり、わからなさを少しずつ解消していく。不安な心理を克服できないと、正しい判断はできない

文明論之概略福沢諭吉

           ①事物の評価には軽重の比較が必要なり―軽小を捨て、重大に就く判断力

           ②事物の研究には、究極の本質を追求せざるべからず―枝葉末節の現象にとらわれない

           ③議論には、まず基本姿勢を定めざるべからず―自分は何を目的に、だれの利益のために論じているのか、自分のよって立つ立場を明らかに

           ④結論のみを観て、論拠を速断するなかれ―他人の意見が自分と同じでも、論拠の全く違う場合がある

           ⑤極端論にふけるなかれ

           ⑥両眼を開きて他の長所を見るべし―他人の欠点ばかりに目を着けてはいけない

           ⑦世論を憚ることなく、わが思うところの説を吐くべし

              ⑧一新の理解を以て、天下の事を是非すべからず