小さなカンニング
子どもの小さなカンニングに怒りがわいた。
算数の宿題をやるのに、答えをみながらやったそうだ。
妻が教えてくれた。
「ノートに花丸をつけたいみたいだよ」
「勉強ができる子たちが、羨ましいみたい」
子どもによくあることといえば、よくあることだ。
自分にも経験がある。でも、気になった。
彼はこの春から小学校に通うようになった。
正直、勉強は好きではない。得意でもない。
だから僕は、何でもいいから好きなことに取り組んでほしいと思っている。
それは本人にも、何回か伝えている。
でも、学校に行ってこんな気持ちになったとしたら。
「勉強ができる子は、いい子」。
花丸をもらいたくて、カンニングをするようになるかもしれない。
人は、知らず知らずのうちに周囲の空気感に流されてしまう。
年齢を重ねたって、それはきっと変わらない。
「仕事ができるオトナは、よいオトナ」
無意識に、そんなことを心の中でつぶやいている自分がいる。
少しずるをしても、結果を残すことだってある。
「ウソも方便」なんてね。
せめて子どものうちは、正直でいてほしい。
好きなことに夢中になってほしい。
勉強でずるするなんて、小手先のテクニックを忘れてほしい。
「間違ってもいいから、やってみようね。失敗した方が、得るものは大きいよ」
そんなことを言えるオトナでありたい。
子どもと向き合うことは、己の生き方への問いかけでもある。